加害者は俺、被害者は私。
「そんなとき、貴女を授かった。あたしはすごく嬉しかったわ」
微笑むお母さんは、本当に幸せそうな顔をしてる。
「でも、彼にそのことは打ち明けられなかった。彼の夢の妨げになると思ったから」
確かに…子供が出来れば、必ず先生は、残ると言ったはず。
私、見てきた。
先生がすごく、子供を大切にしてること。
小児科とかにも、よく顔を出して、小さな子達と遊ぶのが大好きみたいだった。
そんな先生だもん。
お母さんが妊娠したって聞いたら、きっと…夢を捨ててしまう。
お母さんは、それだけは嫌だったんだね?
「あたしは、彼を見送って…貴女をひっそりと産んだ。幸せだったわ…貴女が産まれて、育って…」