あいたかった青と白
お絵かきなんて子供のとき以来。
久しぶり。
そう思い、さっきのテラスへ出てみた。テラスのベンチに座って海をみつめた。
きっと琢海の絵みたいに上手くは描けないだろうな。
と思いながらも青のクレヨンを取り出した。
スケッチブックの真ん中に青で横一直線に線をひいた。
下半分をひたすら青で塗りつぶす。
ただ青に。
なぜだか、さっきまで泣いていたはずなのに今は少し心が穏やかになった気がする。
まるで自分が海の中にいるみたい。
深く深く海の底にゆっくり沈み行く自分を想像してみた。
琢海はどんな気持ちであの海の絵をかいていたんだろう。
しばらくして美香の指は止まった。
「おばあちゃんのところへ行かなくちゃ。」
美香はスケッチブックを置き、着替えて琢海の部屋を飛び出した。