桜舞う木の下で

記憶゚*隆祐side*゚


例え記憶が無くなっても、もう一度瀬川先生が言うように愛すべき人を愛せたら、凄いと思う。


「なぁ、隆祐?」
「はい。」


記憶を無くす前に仲良しだった瀬川さん。
俺がどんな奴だったか聞いたけど、俺にもかけがえのない奴がいた。そいつと俺は両想いだったみたいだが…今の俺には、そいつの顔も、そいつの声も、そいつの名前すら分からない。


「お金が貰えない家庭教師やってみない?」


何か企んでます!みたいなニコニコ顔した瀬川先生が歩み寄ってくる。


「え…」
「仁川の家庭教師だけど?」
「麻衣ちゃんの?」


麻衣ちゃんって子と俺は、周りからみたらバカ担と冷たく突っ込む担で結構お似合いの二人だったらしい。まぁ…瀬川先生が言うにはだけど…


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