桜舞う木の下で
そう言って紫藤が投げたボールは、上手いように、私の手の中に入り込んできた。
「ボール良くみろ。」
そのボールは、使いなれてるっていうか…汚いというか…。
私は、紫藤に言われた通りボールを良く見た。
ー好きー
「え…」
「…美穂」
紫藤が私の反応を見て一歩ずつ近付いてきた。
「…俺と付き合う気ないの?」
「…何で?」
「は?」
「何で、私なの?」
紫藤を押そうと手を肩に乗っけようとしたら、紫藤の手が私の手を受け取った。
「何?悪いわけ?」
「…悪い…」
「…」
「嫌いになれなくなったじゃん…」