桜舞う木の下で

俺は後ろから聞こえた声に慌てて振り向いた。


「好きなら好きって言えよ。俺には隠すな。」


普段優しい瀬川先生に初めて怒られたんだ。俺。


「気づきたくないから、認めたくないからとかじゃねぇ。好きになったらしょうがねぇだろ?自分ばっかりカッコつけてんなよ。麻衣ちゃんがどんな思いでお前を見てきたか知ってるだろ?お前は、麻衣ちゃんを生徒なんて思ってねぇ。」
「…」


それだけ言い残すと帰っていった瀬川先生。
何にも言い返せなかったんだ。
ホントだから。事実だから。
俺は…仁川が好きなんだ。


「知ってたのかよ…」


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