桜舞う木の下で

教員として、なるべく夜には外出させたくなかったんだが…。

ーガチャン


「愛美?」


俺の方を向く愛美は、別れた時より大人びてて…びっくりした。


「先生…っ」


でも…今も昔も変わらないこと。お前が泣き虫って事。愛美…?俺も自分から別れ切り出したけど結構辛かったんだ…。


「愛美…俺もお前が未だに好きだ。けど…その前に、お前に言わなきゃならない事がある。」


会社の事、婚約者の事、一時的に家に帰った所で何時帰ってこれるか分からない事、婚約者が理解しないと結婚を撤回出来ないこと。
お前はうんうんって頷きながら俺の話を聞いてくれた。
そして、最後にお前はこう言ったよな?


「…待ってるから。麻衣と一緒に。先生の事信じるから…付き合わない。」


信じるから…。
俺を信じろ。
絶対にお前に手を差し伸べるから。
俺は、精一杯の力を込めてお前を抱き締めた。

一生離れないように。
一生逃がさないように。


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