赤色リップ。
−バタンッ


自分の部屋に入るなり、音楽をかける。
音楽って、癒されるから。


「〜♪」


鼻歌を奏でながら携帯電話を手に取る。


『新着メール一通』


いつものように受信ボックスを開く。
そして、勿論差出人は


『橘アリサ』


イジメの主犯のヤツだ。
さっき私のリップを投げたヤツ。

なんで登録してあるかというと、コイツからいつも、いつもいつも暴言のメールがくるから、誰か分かるように登録したのだ。


もう、本当にこのメールは慣れた。



『メールを一件削除しました。』


差出人だけ見て直ぐさま削除。

例えどんなメールでも。



−トントンッ


真後ろにあるドアからノックの音。


「日向…?ご飯置いとくわよ、お母さん仕事行ってくるから。」


『分かった。』

心でそう呟いた。



「はぁ……。」


音楽に負けない深いため息をついた。
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