恋愛倶楽部 -love-



黎緒先輩の注意に寿羅がピクッと反応してから固まる。

あーぁ、あいつ頭から湯気出るんじゃないの?

妙な熱気が漂ってるんだけど。



「寿羅さ───」

「だーーーっ!!
ちげーぞ、事故だ事故!
だから引っ張るなっつっただろーが」


うわ、熱上昇でついに噴火か。

これもこれで大変だけど、ショートしなくて良かったね。


心配する牡丹の言葉に被せて、断固否定の叫び声。



「なんだ気づいてたんだ。
なのに言わないでそのままにしてたってことは、もしかして下心でもあったのかな」

「ねーよ!
つーか言えるわけねーだろ」

「言いたくなかっただけなんじゃない?」

「ふざけんじゃねー!!」



また言い争いか。

それとも一方的に寿羅が弄ばれてるだけ?


それにしても、風音といい黎緒先輩といい他人への態度が恐ろしいほどにフレンドリーなんですが。


出会って数日しか経っていない人に、よくもこうズバズバと文句や困らせるセリフを。




「だから来たくなかったんだ。
蘭、悪いがやっぱ俺は帰る」

「あ、ちょっ、寿羅」


わずかに生まれた隙。

その隙を利用して寿羅はあたしの横をするりと抜け、来た道を逆戻りする。



「寿羅、待ってよ!」

呼び止めようとしても、止まってくれる気配はない。






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