恋愛倶楽部 -love-



まったく、しょうがないんだから。


「……黎緒先輩のせいですよ。
あたし、連れ戻しに行ってきます」

振り返って、ちょっぴり沸いた怒りをぶつける。


「何のことかな」

なんて、とぼけないでください。


言い返したい気持ちは計り知れないほど大きいけど、今は仕方ない。



「ゆゆ待ってぇー」

「風音はここで待ってなさい」


急いで追わないと、寿羅を見失っちゃうから。



「ゆゆーっ!」


ごめん。


追いかけてくる声には振り向かず、その場から駆け出した。



けど、もう廊下に寿羅の姿はない。

あいつ、どんな足の速さだよ。


でもまぁ、帰るってことは昇降口に向かったってことだよね?

だったら校舎から出るルートを走ってれば、すぐに見つかるはず。



………と、思ったんだけど。



なんで?

あたしの抜群な運動神経で、あっという間に着いた昇降口。



ねぇ寿羅、帰るんじゃなかったの?

姿がどこにも見当たらないって、どういうことよ?

せっかく急いで来たってのに、あいつの下駄箱もわかんないし。






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