恋愛倶楽部 -love-
弓を構えようとしていた髪が焦げ茶色のセミロングの女の子。
あたしたちに気づくと口パクでひとこと。
【ごめん】
直後、人差し指を立てるから【あと1本だけ】の意味だと悟った。
あたしの出したオッケーサインを合図に、再び弓を構え直す。
鋭い風を切る音と共に、的確に放たれた矢は的の中心を射抜いた。
わぁお!
さすが弓道の天才少女。
なんて心底感心していると、こちらに向かって【待ってて】とまたも口パク。
数分後、制服に着替えた天才少女はあたしの目の前へ。
「待たせてしまってすみません」
丁寧に謝る彼女、左目下の泣きぼくろがチャーミングな本伊牡丹(モトイ ボタン)。
隣のクラスの同級生で、黎緒先輩同様お金持ち。
落ち着いていて気配り上手なしっかり者。
おそらくメンバーで最も純粋であろう和風美人だ。
事前に伝えておきたいのは、牡丹は虫が大の苦手だということ。
まぁ、その話はまた後日。