恋愛倶楽部 -love-
このボール、誰が………
「本物のバカか、てめーは」
降ってきた呆れた口調と、人の気配。
驚いて即振り向けば、視界に映ったのは
「あれ、寿羅?」
本来の目的であった人捜しのターゲットとなる人物が。
「あれ、じゃねー!
何やってんだバカ、女が1人で男相手に蹴り入れてんじゃねーよ。
あのまま反撃喰らってたら怪我しちまうだろーが」
ものすごい迫力で今度は説教が始まった。
別に、そんな怒らなくたっていいじゃん。
「もう怪我しちゃったよ、ほら」
そう言って、生まれたての擦り傷を見せつける。
傷ってやっぱ強さの証だよね、うん。
「堂々と見せてんじゃねー!
さっさと水で洗って来い」
「えー」
不満げに返答すると、寿羅は静かにため息を零す。
それから、そっぽを向いて片手をあたしへ差し出した。
「へ?何この手」
「立てねーなら支えてやるから、さっさとしろ」
え?
寿羅?
「変なものでも食べた?」
奏斗あたりにもらって。
「てめっ……置いてくぞ」
「なっ、冗談だよ冗談」