恋愛倶楽部 -love-
なんでだろう。
やけに優しくない?
あたしが怪我人だからかな?
ちっちゃな擦り傷だけど。
寿羅の手を握ると、力強く引っ張って立たせてくれる。
目を一切合わせてくれないのは、たぶん無理してるからだよね。
遠慮せずに肩に腕を回して寄りかかった時、ちらっと見た横顔が赤かったから。
「ねぇ、なんでバスケットボールなの?」
ふと、あたしから寿羅へ渡ったボールを見て質問。
「得意なんだよ、俺。
バスケだけ」
「だけ?」
「そ、」
「ふーん」
……会話終了。
なんだか続けるにも続けられなくて。
いっそ、話さなくてもいいだろうと結論に至った。
沈黙も悪くない、か。
あとから無理矢理聞いた話によれば、帰る前にバスケをやりに体育館へ向かう途中あたしに気づいてくれたらしい。
それで、ちょうどボールを持った友達を見かけ借りたんだとか。
先生を呼んだのはフリだって。
あれだけ離れたところから、狙い通りにボールが投げられたってすごいことだよね。
「助けてくれてありがと」