恋愛倶楽部 -love-
刻印は一生消えることはない。
それでも、きっと今みたいに全員で集まらなければ安全だと思う。
企みの内容は知らないけど、紅珠沙の狙いはあたしなんだから。
あたしがみんなから離れればいい、それだけ。
簡単なことじゃん。
「……面白いこと言い出すね」
「え?」
相変わらず微笑んで、でもどこか冷たい黎緒先輩の瞳。
「素直に言うこと聞く人が、この中にいるとは思えないけどなぁ」
その言葉に続いて、奏斗が1歩前へ出た。
「絶対、嫌だ」
「奏斗………」
「ゆゆ流に言うと【却下】だな。
なー、牡丹」
奏斗と同じく牡丹へと視線を運ぶ。
「そうですね。
今さらみんなバラバラなんて悲しすぎるでしょう?」
「牡丹………」
見つめた先の優しい笑顔が、あたしを包み込んで。
「よくわかんないけど、ゆゆと離れるのはヤダーっ」
飛びついてきた風音の温もりに胸が熱くなった。
「みんな、いいの?」
尋ねたあとに音はない。
返ってくるのは言葉じゃない。
仲間の、優しすぎる眼差し。
「ありがとう……みんな」