恋愛倶楽部 -love-



風音が黒蓮華に入った時には、もう亜蓮はいなかった。

別れちゃったし、学校自体卒業しちゃってたからね。


それでも時々名前を出してしまったがために、風音はちゃっかり亜蓮の名前だけを覚えてる。

あたしの元カレっていう補足と一緒に。


風音が黒蓮華に加わったのは、あたしのせいなんだ。

油断してて見られたから、刻印を。


「風音は知らないと思うけど、亜蓮は闇紫苑にいて黒蓮華とは敵なの」



ただあたしを追いかけて一生背負わなきゃいけない刻印を刻んだ彼は

「敵なのに……守るの?」

きっと、何もわからずに飛び込んだ。



「亜蓮先輩が、好きだから?」

この、複雑に交差した黒い世界へと。



間近に見た風音の瞳は、確かに澄んでいて。

その瞳にあたしは、映っちゃいけなかったんじゃないかな。




「もう、好きとか関係ないんだよ。
自分でもわかんないけど、守りたい」


あたしは、すごくワガママだ。

敵なのに守りたいと願ってしまう。



「ゆゆ、これからどうするの?」

あたしから離れて俯いた風音の声は、震えている気がした。



「事情を把握するために……闇紫苑のところに行く」






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