恋愛倶楽部 -love-
ほとんど同じ高さで絡んだ視線。
相手の瞳には歪んだ自分の姿。
「亜蓮先輩のところに、戻らないよね?
ゆゆはボクのだよ。
…そうでしょ?」
「え、いや、ちょ、風音落ち着いて」
迫り来る風音に自然と後退り。
「誰にも渡さない」
ぼそっと言って瞬きした風音の頬を、雫が一筋撫でて落ちた。
なんで泣いて───‥
「ゆゆは、誰にも渡さないから」
問いかける数秒もくれずに、間近で告げられる意志。
涙を貫いて向けられる鋭い眼差しに、ものすごい殺気を感じるんだけど。
「あたしは別に、ヨリ戻しに行くんじゃないから、ね?
風音?大丈夫?」
エスカレートする前に、正気に戻れ。
「心配しないで。
ボクなら大丈夫っ」
可愛い声と逆に、顔が笑ってませんけど。
「邪魔者は……全部消しちゃえばいいんだもんね」
いやいやいや、全っ然大丈夫じゃないからそれ!
むしろ危ないから!
ね、頼むからクロネにならないでぇぇえええ!
虚しく心の叫びが木霊する中、舌を出して小悪魔的笑みをつくった風音──いや、クロネは早々に教室を退散。
何だったの、あの殺気。
今まで以上に、凄まじい恐怖があたしを襲う。
それにしても、さっきの涙っていったい………。