恋愛倶楽部 -love-



ひょっとして、あたしのせい?

泣かせちゃうほど追い詰めちゃったのかな。


どうしても風音の泣き顔が忘れられなくて、佇んだまま思い悩む。


風音、ごめん。

泣きたくなるような想いさせて、ごめん。




背後から盛大なため息が聞こえたかと思えば、長時間そこにいたであろう寿羅の姿。

目で追ったけど、こっちを見ることなく教室を出て行ってしまう。

それも荒々しく扉を閉めて。



寿羅、ごめん。

巻き込んじゃって、ごめん。



謝ることしかできないなんて、情けないよね。

ガラにもなくヘコむ。


いつもみたいにプラス思考できない。

これも、亜蓮が絡んでいるから?

ううん、そんなの言い訳だ。

問題は自分自身なのに。




「明日くんが言いたかったのは、蘭さんを泣かせたくないってことだけじゃないと思うよ」

静まった場所で、耳に入ったのは近寄る足音。

目の前まで来て立ち止まった人物を、黙って見上げた。


「誰だって、そんなふうにつらそうな顔してる人見たら心配するよね普通」

冷ややかに見下ろされて、体が金縛りにあったみたいに動かなくなる。


いつかの日みたいに、黎緒先輩は自分のと正反対な黒い髪を指で弄り始めた。






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