恋愛倶楽部 -love-
こんなの、ヤダ。
目を閉じる度に次々へと流れる涙。
一生懸命手で拭っても消えない。
どうして、こんなにいっぱい……っ。
声を噛み殺して。
両手で顔を隠して。
どうしようもなくなったあたしは、ヤケになって制服の袖でごしごしと目を擦る。
その投げやりさに嫌気が差したのかもしれない。
黎緒先輩が思いきりあたしの腕を掴んだ。
びっくりして顔をあげたから目は合っちゃうし。
泣き顔なんて、見られたくなかったのに。
それに見上げた先の黎緒先輩の表情が、いつもとはどこか違ってた。
意地悪とか楽しんでるとか、そんなんじゃなくて。
「そんな可哀想なものを見るような目で、あたしを見ないでください」
憐憫の情を抱くかのように……
「あたしは、可哀想なコじゃありませ───きゃっ」
視界から色を失って。
数回瞬きをしても、やっぱり真っ暗で。
「せんぱ───」
「動くな」
気づけば肩を抱き寄せられて、すっぽり腕の中に納められていた。
押し返そうとすれば、普段と違う声色の音が降ってくる。
動くなと言われた以上、反抗するわけにもいかずまごつくばかり。