恋愛倶楽部 -love-
◆愛おしすぎて
「……で?
なんっで俺まで、てめーらの友好会に付き合わなきゃなんねんだ」
休みが来た。
鬱な勉強もせずに、遊べる休日がいらっしゃったのだ。
「そう機嫌悪くなんなって寿羅。
あたしが美味いもん奢ってやるからさ」
「マジか!?
あとで嘘だっつっても取り消せねーからな!?」
“美味いもん”に食いつくこいつは、なんて単純な脳内構造をしているんだろう。
奏斗のポジティブさと同等に羨ましい限りだ。
「オレはキミに出会うために、キミはオレに出会うために生まれてきたんだと思うんだ」
その奏斗は、人混みに紛れていつもの“アレ”に全霊を込めていた。
あいつの考えてることが、いまいち理解できない。
「寿羅ばっかりズルいよー!」
あたしと寿羅が並ぶ間に強引に割り込んで。
「寿羅は邪魔者。
よって今から寿羅撲滅運動を開始します」
「箕笙って、んっとに蘭好きだよな……俺には理解できねー」
逆に、理解されたらあたしが困るわ。
風音みたいなのが増えるかと思うと、命がいくつあっても足りなそう。
「数日前の暗さとは反対に、みなさんとても楽しそうですね」
「そうせざるをえない人も、中にはいるんだろうけどね」
可愛い女の子を発見しては、即座にナンパしてあちこちに動いている奏斗。
小さくも恐ろしいケンカが起きそうな寿羅と風音。
その真ん中で巻き込まれているあたし。
そんな自由なメンバーをうしろから優しく見守る牡丹と、観察しているだけの黎緒先輩。
休日のこの日、ラブメンバーで街に出かけたのに深い理由は……たぶんないんだと思う。