恋愛倶楽部 -love-



長く落ち込んだり沈んだり、病みっぱなしの人はこの面子にはいないと言っても過言じゃない。

少なくとも表面上では。


「だーいすきっ!」

飛びついてくる風音のみ例外で。


「わかったから、いちいち大声で言わなくていいってば」

違う意味で、このコは年中病み期だよね。

治す方法ないのかな、風音特有の病。



「そんじゃファーストフードにしよーぜ?
あ、でも奢ってくれんなら普段食えねーもんがいいよな」

「病気に食べ物って効くの?」

「は?……まぁ効くヤツもあんじゃねーの?
ほら、よくネギとか喉にいいって言わねー?」


最近になって、初めて会った時よりも笑ってくれるようになった寿羅。

これって、確実に仲良くなれてるってことだよね。

よっしゃ。



で、病気に効くのはネギなのか。

試しに今度風音に食わせようかな。

喉にいいんだもんね、そしたら少しは毒舌が治るかも。


なんだったら黎緒先輩にも……



「黎緒先輩、今度みんなでネギパーティーやりましょうよ」

振り返って問いかければ、あからさまに冷ややかな笑みを向けられる。

隣に並んでる牡丹の笑みと見比べると、嫌でも視覚的にわかってしまう。



「蘭さん、さっきから思ってたんだけど松永くんと話が噛み合ってないよ」

「黎緒先輩、お誘い聞いてます?
ネギパーティー!」

「話聞いてないね……遠慮しとくよ、そもそもネギってあまり好きじゃないし」

「えぇー」


蘭ゆずゆ、本日お誘いに失敗しました。






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