恋愛倶楽部 -love-
「どうしたの?」
動きを止めて周囲を見渡したあたしの服を掴んで、風音は問いかけてくる。
「ううん、なんでもないよ」
気のせい、かな?
でもやっぱり、いつもと違う。
全身で察する妙な違和感。
ちらっと黎緒先輩を見ると、同じく周囲へと目を配っていた。
気のせい、じゃないのかな。
「ハンバーガー食いてー、蘭の奢りで」
頭のうしろで腕を組む寿羅の提案に乗っかって、いったんお店に入ることに。
約束は約束だから、寿羅には好きなものを奢ってあげることにしたのはいいが。
「蘭さん、誰かに恨み持たれたりしてない?」
店内に入ってから、無理矢理風音を退けてあたしの隣に座った黎緒先輩が耳元で聞いてきた。
突然のことにビクッとしたのは、気のせいってことにしておこう。
「ないと思いますけど、たぶん」
心当たりはない。
悪いことしてないもん。
「じゃあ、逆に誰かから好きになられちゃったりしてない?」
「………先輩?」
何が言いたいんですか?
そう聞きたい反面、ひょっとしたらという可能性が生まれて。
「もしかして、黎緒先輩も感じてるんですか?
この妙な違和感」