恋愛倶楽部 -love-
あたしが気づいたのは牡丹の手を取った時。
誰かに見られてるような、変な感じ。
「なんだ、知ってたの?
蘭さんも鋭くなったね」
感心されたように言われても、ちょっと困る。
元からそんな鈍いほうじゃないし。
「けっこう前からだったんだけど、なんかこう、監視されてるみたいなんだよね」
「あたしも、視線感じました」
「誰を見てるのかは、はっきりしないけど」
そう、誰がどんな目的で誰を見ているのか、それはわからない。
………気のせいじゃ、なかったのか。
「てか黎緒先輩、なんで最初にあたしに聞くんですか」
狙われてんのがあたしみたいじゃん。
怖いからやめてくれ。
「この中だったら1番問題起こしそうなの蘭さんだと思って。
間違ったこと言ってるかな?」
にっこり笑って聞き返される。
いかにも笑顔に裏がありそうなんですけど。
否定したいが否定したらどうなるかわからない、という雰囲気を漂わせているから尚更だ。
「それぞれ問題児だと思いますけどねー‥」
ぼそりと呟いたところで、突如目の前でダンッという音が。
驚いて見上げると、机を叩いて立ち上がった風音が無言のまま俯いていた。
周囲に広がる漆黒のオーラが奇妙に渦巻いて。
本能的に、脳内は場が危険であると感知。
何やら雲行き怪しいぞ。