恋愛倶楽部 -love-



覗き込もうと試みた瞬間

「もう、ヤダぁ!」

叫んだかと思えば、すごい勢いで店内を出て行ってしまう。



「風音っ、どうした!?」

追いかけるように問いかけてみたものの、声は儚く消えていく。


何なんだ、前から変だったけど前以上に最近風音の様子がおかしい。

この間だって泣いてたしな。



「おい蘭、追いかけたほうがいいんじゃねーか」

「な.なんで、あたしだけに言うんだよ」

「てめーのせいだろーが」


呆れ顔で寿羅に指摘され、少し苛立った。

しかし、こいつの言い分はどちらかと言えば正しい気もする。



「風音さんが乱れる原因は、いつもゆずゆちゃんですからね」

そしてさり気なく、牡丹の予測付き。


刺がっ!

牡丹の言い方に刺が見えるよっ!



「わかった、追いかける」

【いつも】あたしが原因とは認めないけど、心配なのには変わりない。

だったら追いかけるしか選択肢は残らない。



決心して立ち上がると

「オレも行く」

それまで黙り続けていた奏斗の手が伸びてきた。





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