恋愛倶楽部 -love-
「ゆゆ単独で行動させらんねーしさ」
それから、そのままあたしの腕を引っ張って歩き出す。
予想だにしていなかった事態に、難なく引っ張られて。
本当……何考えてんのかわかんない。
「ねぇ奏斗」
「んー?」
「機嫌悪くないの?」
唯一あたしの意見に反対したのは、他でもないこいつだ。
なのに、どうして普通にしていられるんだろう。
「その言い方、オレが常に不機嫌みたいじゃね?」
「別に、そういう意味じゃないけどさぁ」
もっとあからさまに態度に出すくらい、相手が奏斗なら許すのに。
あたしがワガママなだけなんだし。
「なんていうか、優しすぎる。
あたしのしようとしてることに、反対なら反対で放っておいてくれていいんだよ?」
こんな風に、一緒について来てくれなくてもいい。
あたしのことを心配する必要だってないんだから。
「うーん、なんつーか……放っておこうって思っても、無理なんだよな。
相手がゆゆだから」
振り向かず、前を見てそう言ってくれた奏斗。
その横顔に、あたしはどう答えたらいいんだろう。
いつも通りに笑っていてくれるから、つい甘えてしまいそうになる自分が嫌い。
「ごめん」