恋愛倶楽部 -love-
キョトンとしている女の子たちに頭を軽く下げて、奏斗の髪を引っ張り強制連行。
「結局髪の毛!?」
不満だらけそうに見つめられたけど、もちろんスルー。
しばらく歩いてから
「すんげー美人いたのに」
なんてぼそぼそ聞こえてきたのも、耳に入っていないものとした。
「で、風音、なんで突然脱走したの?」
別れ際にもらうからと、ひとまず返したウサギのぬいぐるみ──うさぴょんを抱いて歩く風音。
異様にここだけ雰囲気がメルヘンチックなんすけど。
「脱走って、飼い犬じゃあるまいし」
「奏斗は口開くな」
注意したところで、ようやく何かを決めたように風音が感情をさらけ出していった。
「だってゆゆ、亜蓮先輩のこと守りたいって言うし。
寿羅と仲良く喋ってるしね、黎緒先輩とコソコソ話もしてたでしょ?」
うん、まぁ確かに。
「今も奏斗とイチャイチャしてたもん」
「いや、それはない」
「なんだよー照れんなって……ぐはっ」
即答後、再び口を開いた奏斗に天罰として蹴りを喰らわせて。
今回ばかりは、しっかり風音の話を聞いてあげようと懸命に耳を傾ける。
「ボク、もっとゆゆがほしい!
独占したいの。
ね、いいでしょ?」
………が、告げられたのは途方もない愛情要求。