恋愛倶楽部 -love-
これ以上、あたしに何を求める気なんだ。
無理なもんは無理なんだよ。
でも、ここで今無理なんて言っちゃえば風音はもっと壊れるかもしれない。
これぞ究極の選択。
どう答えれば、お互いの傷が少なくて済むの?
「えっと、あのね───」
「蘭っ!!」
答えも定まらず、曖昧に言いかけた時。
タイミングが良いのか悪いのか、寿羅が慌てたように走って来た。
「うわぁ、邪魔者」
すぐに風音の表情が崩れたけど、それを気に止める時間さえも与えないで知らされる緊急事態。
「本伊が、いなくなった」
たぶん、ここにいる全員が驚いてる。
「寿羅が、女の子のために走った……」
「なっ、ちげーよ!
つーか、驚くとこそこじゃねー」
「うん、知ってる」
えっとー、まず牡丹が単独行動だなんて信じられないでしょ。
道に迷うとも思えないし。
だとすれば、いなくなったと断言できるこの状況は……牡丹、誘拐事件?
「牡丹誘拐されたの!?」
一瞬冗談かと思ったけど、寿羅の様子からも良からぬ雰囲気が漂ってくる。