恋愛倶楽部 -love-
あぁ、今気づいちゃったよ。
牡丹探す前に、ケータイあるんだから電話してみれば良かったんじゃん。
今度は呆れたため息を零して、押した発信ボタン。
すぐに機械音は消えて、電話が繋がった。
「もしもし牡丹?
今どこにい───」
『た.助けてくださいっ』
「え、牡丹?」
息を切らした声。
電話越しに、大きな物音が聞こえてくる。
これは、ガラスの割れる音?
なっ、どうなってんの?
「牡丹大丈夫?」
『場所が、わからないんです!
窓から……小さく学校が……きゃっ』
「牡丹!?」
思わず叫んだあとに残るのは、始めとは異なる機械音。
通話が途切れた。
ケータイをじっと見つめて、考えてみる。
牡丹は何かに怯えてたよね?
それで、助けを求めてるはずなんだ。
【窓から……小さく学校が】
そうだ、学校!!
言われた言葉を脳内で何回も繰り返す。
そして勢いよくケータイを見ていた顔をあげた。
今あたしがいる場所からは、学校が見えてて。
牡丹のいる場所の窓からも小さいけど学校は見えてる。
そう頭で理解すると、勝手に動き出した足。
考えて迷うくらいなら、まずは行動しよう。