恋愛倶楽部 -love-
学校が小さく見える距離……。
牡丹の言う小さいが、どのくらいかはわからないけど。
学校を確認しながら、徐々に遠ざかっていく。
どこ?
どこにいるの?
辺りを見回して、人が入れそうな且つ人目につかなそうな場所を探していく。
人目につく場所なら、きっと誰かが気づくはずだもん。
牡丹があんなに慌てる必要ない。
「牡丹、どこーっ!?」
返事があるとは思えないけど、叫ばないよりはマシでしょ。
もし届いてるなら、多少のヒントくらい得られるかもだし。
「ぼーたーんー!!」
次に大声を出した時、ふと前方に見える建物の変化に気がついた。
もしかしてっ!
駆け寄ってみれば、やっぱりそうだ。
窓ガラスが見事なまでに割れている。
見上げたその建物があるのは、学校から数分走ればたどり着ける位置。
振り返ると、予想通り小さく学校が見えた。
よっしゃ、ビンゴ。
「牡丹?いるー?」
恐る恐る足を踏み入れたそこは、言わば廃墟。
使われていないせいか、埃っぽい。
木材やら鉄材やらが山積みになったり散乱したりしていて。
「ゴホッゴホッ、ちょ、埃ヤバい」
俗に言う倉庫的な造りをしてた。