恋愛倶楽部 -love-
◆間違いだと気づけずに
視線を逸らさず、まっすぐ問いかける。
「そう」
返ってきた答えは、たった二文字。
しかも誘拐を認める内容で。
「何のために?」
「邪魔なの」
「邪魔?」
「そのコがいなくなれば、ルイは私のものになるのに」
一瞬にして鳥肌が立つ。
怒ってたり泣いてたりするならまだしも、こんな無表情で語られると怖い。
うーん‥セリフそのものは聞き慣れてるから怖くないんだけどな。
【邪魔者】とか風音がしょっちゅう言ってるし。
「あのね、そのコを捕まえればルイは私を好きになるんだって」
「ルイ?」
「私の好きな人の名前よ。
ルイはそのコが好きなの。
だから一生懸命真似をしたのに、ちっとも振り向いてくれなかった」
なるほど、それで髪型が牡丹にそっくりなわけね。
てか、そのルイって誰だよ?
牡丹に惚れてる男なんて、いすぎて見当もつかないぞ。
「こんなに好きなのに、私のことは全然見てくれない」
「だからって牡丹を誘拐するのは間違ってるよ」
我慢できなくなって言い返す。
好きな人を手に入れるために、誰かを傷つけるなんておかしい。