恋愛倶楽部 -love-

◆間違いだと気づけずに






視線を逸らさず、まっすぐ問いかける。


「そう」


返ってきた答えは、たった二文字。

しかも誘拐を認める内容で。



「何のために?」

「邪魔なの」

「邪魔?」

「そのコがいなくなれば、ルイは私のものになるのに」



一瞬にして鳥肌が立つ。

怒ってたり泣いてたりするならまだしも、こんな無表情で語られると怖い。


うーん‥セリフそのものは聞き慣れてるから怖くないんだけどな。


【邪魔者】とか風音がしょっちゅう言ってるし。



「あのね、そのコを捕まえればルイは私を好きになるんだって」

「ルイ?」

「私の好きな人の名前よ。
ルイはそのコが好きなの。
だから一生懸命真似をしたのに、ちっとも振り向いてくれなかった」


なるほど、それで髪型が牡丹にそっくりなわけね。

てか、そのルイって誰だよ?

牡丹に惚れてる男なんて、いすぎて見当もつかないぞ。



「こんなに好きなのに、私のことは全然見てくれない」

「だからって牡丹を誘拐するのは間違ってるよ」



我慢できなくなって言い返す。

好きな人を手に入れるために、誰かを傷つけるなんておかしい。






< 159 / 432 >

この作品をシェア

pagetop