恋愛倶楽部 -love-



女の子とケンカとか、絶対ヤダ。

理由もなくやり合ったって意味ないよ。

お互いに傷つけ合って、最後は何も残らない。



「そんなに好きなら、ちゃんと正々堂々勝負しなよね!
恋愛ってそういうもんじゃないの?」


考え方が狂ってる。

邪魔者を除けたところで、相手が自分を好きになるとは限らないのに。



「好きな人が幸せでいることに、自分の幸せを感じられるのを“愛してる”って言うんじゃないの!?」


簡単なことじゃないんだよ。

人を愛するって。



「それじゃ私は幸せにはなれないの!!」

言葉がぶつかり合った時、彼女が飛び散ったガラスの破片を手に取る。



「何する気───っ」

対応が間に合わない。


「死んで」

あたしめがけて振り下ろされた凶器。


刺さる!

そう思った瞬間、反射的に強く目を閉じた。



「痛いっ」

真っ暗な視界の中、耳元でカランと何かが落下する音。

声をあげたのは、あたしじゃない。



「何するの、放し───ぅぐっ」

それから、ドサッと人が倒れる音。



状況を把握するため、ゆっくりと目を開ける。

色づいた視界に映ったのは───






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