恋愛倶楽部 -love-



「好きな人の幸せが自分の幸せだ、って俺の知ってる人が言ってたよ。
それって“愛してる”って意味だったんだ?」


納得したように話す男の子。

金髪で、目にかかるくらいの前髪には赤と黒のヘアピンをつけてる。

愛嬌のある笑顔で、あたしを見下ろしていて。


「………誰?」


彼の両手には、さっきの女の子が抱かれていた。



「ナギト」

「なぎと?」

「夕凪の凪に兎。
俺の名前」


………だから誰よ?

てゆーか、何者?



じっと見ていると、彼──凪兎はそっと女の子を地へ下ろす。


「あぁ、大丈夫だよ。
気絶させただけだから」

それって、大丈夫って言えるのかな。



「【死んで】とか言われてたね、あんた」

何がおかしいのか、笑いながら言われて

「このコ、預けるからよろしく」

女の子を指差した。


は?預けるって?



「操られてるみたいだったし、仲良くしといて損はないと思うよ。
あと、あんたの仲間も怪我してなさ───」


そこまで言いかけて、突然黙る。

目を細めて何かを見てるみたい。


「蓮………?」


呟いた彼の視線をたどると、牡丹の首の右側。

髪の隙間から見える真っ白な首に、真っ黒な蓮花が。






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