恋愛倶楽部 -love-
動けなくて。
あたし、逃げられなくて。
そのうち自販機に集まってきた人たちが、言い争いを始めていた。
「オレが話しかけた時には、まだなっちいたし!」
「どうせまた、一方的にサクが話してただけでしょー?」
「うむ、そう見えた」
「シュウ、オレを裏切る気か!?」
どこにでもいるような、友達同士の集まりみたいで。
そう、いたって普通なんだけど。
「ほらシュウ、緑茶」
そんな輪の中で笑ってる姿を見た瞬間
「あいつ、また脱走したんじゃ───」
バカだからさ、あたし。
振り向いて、あいつがあたしに気づいて
「………ゆずゆ」
目が合って、名前を呼ばれたら切なくて。
泣いちゃいそうだよ、今。
「久しぶり、だね……亜蓮」
思いがけない再会。
目を合わせて話すことが、こんなにも難しいだなんて思わなかった。
ねぇ、どうしてここにいるの?
現れないでほしかったのに。
あたしが覚悟を決めて、会いに行けるその日まで。