恋愛倶楽部 -love-



「んーなに?亜蓮の知り合い?」

女の子が立ち上がりながら聞いている。


それでもあいつは、まだ答えない。

黙ったままジュースを他のみんなに渡すだけ。


すっかり、あたしから視線は外れていた。



「亜蓮………?」

沈黙の中、やっと口に出せたのは名前と疑問符。

返事がもらえないことに、一気に押し寄せて来た不安。


何を不安がってるんだろう。

別に今更、あたしが不安になる必要なんてないはずだよね?




「………行くぞ」

それだけ告げて歩き出そうとするあいつの行動が、予想以上に胸に刺さる。


「知り合いじゃねーの?」

背の低い男の子に言われて、再びこっちへと向く視線。



あたしは、何を待ってるの?

ここで何を言ってもらいたいの?



たぶん、ただ笑顔がほしかったんだ。

久しぶりって、それだけでいいから言ってほしかったのに。


「別に、知らね」



視線を逸らして立ち去るあいつが

「なんで………?」

どうやったって信じられなくて。



「え?本当に知り合いじゃないの?
ねぇってば、ちょっと亜蓮ー?」

慌ててあとを追っていく人たちを見ながら、改めて知ったの。






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