恋愛倶楽部 -love-
ミルクティーの横には、知ってる笑顔。
「凪兎……なんで」
前会った時みたいに、ヘアピンを2つして。
八重歯を見せて、思いきり笑ってる。
「なんでここにいるかって?
あんたが呼んだからじゃない?」
「あたしが?」
よくわからなくて投げかける質問。
すると、凪兎はあたしの腕を掴んで立ち上がらせた。
「歩いてたら震えてる女の子がいて、放っておけなかった。
泣き場所をつくってあげる理由は、それでいい?」
「理由って───っ!?」
言いかけて、突然強く引き寄せられた頭。
「こうしてれば、あんたは誰にも泣き顔を見られず泣けるし」
気づいたら、視界が真っ暗だった。
「まー、あんま親しくない相手にこういうことするのも、どうかしてるけどさ」
あたし、今、ひょっとして抱きしめられてる?
間違ってないよね?
凪兎のぬくもりが、そばにあるんだもん。
「聞かされてたからかな。
あんた見てると、見て見ぬフリができない」
これは……慰めてくれてるってことなの?
「泣きたいなら泣けば?
誰も泣いちゃダメなんて、そんな無茶言わないからさ」