恋愛倶楽部 -love-
今1番、ほしかった。
泣くことが許されるって証がほしかった。
そっか。
泣いていいんだ。
凪兎………
「セクハラで訴えるよ」
「あれ?それは困るな。
俺のシナリオだと、ゆずゆは泣く展開なのに」
でも、なんだか平気みたい。
「それは、凪兎の脳内妄想でしょーが」
びっくりしてる感情のほうが大きくて、涙が堪えられそうだから。
「そうかも。
……で、やっぱ、まだ笑えてないね。
我慢してない?」
心配そうに聞いてくる相手に
「話、聞いてくれたら笑える……かも?」
首を傾げて言えば、浮かべる困ったような笑み。
仕方ない、とか言いながら、凪兎はあたしをそこら辺の段差に座らせた。
「言っとくけど、俺は恋愛話にアドバイスはできないよ」
「うん、それでいい」
あたしが誰かに、話したいだけだから。
「もし、忘れられない人がいて、その人と久々に会えたのに冷たくされたら、凪兎なら───」
「どうする?って聞かれても、答えられない。
ゆずゆが泣いた理由はそれ?」