恋愛倶楽部 -love-



自販機……の、前?


「はい、ほらプレゼントは受け取らないと」


ねぇ、それってさ。

「ゆずゆ?」


足が止まって、その場から動けなくなった。

気づいちゃったよ。

そっか……立ち去る時、持ってなかったもんね。



「凪兎……あたし、」

「涙目になってる」

「だって、びっくりした」



置いて行ったの、わざとでしょ?

何考えてるの、亜蓮。

よくわかんないよ。



俯いて、視界がぼやけてきた頃。

「だから、ちげーよ!」

背後から大きい声が聞こえたと思ったら


「きゃっ!」

「ゆずゆ!?」

誰かがぶつかってきた反動で、前に倒れ込んでしまう。


凪兎が思い切り腕を引っ張ってくれたから、転倒は免れたものの。


「う、ごめんっ」

「いいよ、今のはあんたのせいじゃないし」


引っ張られたことで急接近。

驚いたせいなのか、速まる鼓動。



「うしろ向きに歩くなよ、人にぶつかってんじゃん。
だっせーの」

「うるせーっ!
てめーが変なこと言うからだろーが」


あれ?けど、どうして?

騒音並みの後者の声に聞き覚えが………






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