恋愛倶楽部 -love-
「奏斗の女好きには負けるよ」
「ふん、最高の褒め言葉をありがとう」
嫌味のつもりで言ったのに開き直ってるよ、こいつ。
どんだけ幸せな頭の構造してんだか。
「いいなぁ、ミルクティー。
ねぇ、ひと口ちょーだい?」
冷めた目で奏斗を眺めてると、すぐ近くで少し高めの声がした。
あたしの制服を軽く引っ張って。
「ん?いいよ、はい」
「やったぁー、ゆゆと間接チューだ」
笑顔でミルクティーを受け取る風音。
ちょっ、間接チューって……。
そう言われると、妙に意識しちゃうんだけど。
「あーずりぃ。
ゆゆ、オレとも間接…いや、愛の口づけを───」
「ゆずゆちゃん、さっきから教室の前で誰かが彷徨っているみたいなんですが」
奏斗の無駄口を遮り、牡丹はドアを指差す。
「オレの話聞けって!」
さすが牡丹。
奏斗をスルーして正解だよ。
ただ、彷徨ってるって表現は何か違ってないか?