恋愛倶楽部 -love-
人影が揺れているのは、はっきり見える。
あくまでもドアの前を、うろうろしてるだけで。
彷徨ってるっていうよりは、躊躇ってるっていうか。
とりあえず、ドアを開けて声をかけるべき?
「ねぇキミ、用事があるなら話してくれないかな。
こっち、おいで」
って、おい!
あたしが声をかけるか悩んでる間に、すでにドアを開けた黎緒先輩。
行動早すぎるだろ。
しかも、手招きしてる姿が美しすぎます。
あの優しさが滲み出てる感じ。
うぅっ、理想的すぎる。
「あの、ゆずゆちゃん、怖いオーラ出てますよ」
「いや、怖いっつーか、こりゃ桃色のオーラだな」
もう、なんとでも言え。
今だけは、黎緒先輩が理想の人に見えて仕方ない。
“今だけ”は。