恋愛倶楽部 -love-
不審者……なわけないよね?
牡丹だって平然としてるし。
理解不能な全員の視線はたった今、牡丹の目の前で停止した男性に向けられる。
あたしは牡丹のもろ隣だから、彼の顔がよく見えるけど。
二重で笑うと目が細くなる、いわゆるくしゃっとした笑顔。
か.可愛い。
「ただいま」
その可愛い笑顔のまま、彼は牡丹にひとこと。
………あれ?
今、【ただいま】って言った?
「おかえりなさい、お兄ちゃん」
………あれ?
【おかえりなさい】って。
それに
「「お兄ちゃん!?」」
珍しく今回は寿羅ではなく、奏斗と重なった声。
例のお兄ちゃんは、牡丹の頭にポンと手を乗せると奥の部屋へと姿を消した。
騒ぎが収まり、違うことで混乱し始めた人数名。
ちなみに、数名には自分も含みます。
いったん、和風と似つかわしくない洋風な牡丹の自室へ戻ることに。
そこで改めて、牡丹からお兄ちゃんについて説明をしてもらった。