恋愛倶楽部 -love-
それから黎緒先輩から受けた説明をまとめると、こうだ。
まず、黎緒先輩が寿羅に電話。
止め役の奏斗がいなくて、あたしが風音に襲われちゃうかもって。
もしあたしに危害が及んだら、その時は寿羅のせいだって。
それを聞いて、寿羅が駆けつけてくれたらしい。
「心配してねーよ、全然!
脅されたから来ただけだ!」
「嫌だなぁ、脅しの電話なんてかけたつもりないんだけど」
実際のところ、どうなんだろう。
寿羅の会話を聞いてる限りでは、明らかに黎緒先輩の策略って感じもする。
寿羅はまんまと蜘蛛の巣に引っかかったってことかな。
風音の立場が可哀想に思えてくるのは、あたしだけ?
「そんなに気を落とさないでください」
気になって見ると、無表情で固まる風音を牡丹が慰めていて。
あたしは手元にあった袋から、さらに箱を取り出す。
それを風音の前に差し出した。
「みんなで食べよう?」
次いで、箱を開けていく。
色鮮やかなそれを見た瞬間、風音は瞳をキラキラと輝かせた。
「フルーツタルトだーっ」
ある意味、狙い通り。
お土産に迷った結果、甘いのが苦手な人はいないから風音の好物をチョイス。
機嫌、直してくれたかな?