恋愛倶楽部 -love-





「うわー、なんであがりなの!?」

手札がすべて消え去った。



時刻は日付が変わりそうな頃。


もう眠いのに。

早く寝たいのに。



「これで、どっちにしろ誰かと寝ることになっちゃったね」

にこやかに、未だ参戦中の黎緒先輩が言う。


「負けられない負けられない負けられない」

奏斗は呪文みたいに繰り返すばかり。



「よっしゃ、俺あがり」

寿羅は嬉しそうに、最後の手札2枚を山積みの札へと投げる。




何をやっているかって?

あたしと誰が一緒の布団で寝るのか、トランプで決めている最中。


ルールは簡単。

ババ抜きの逆で、最後までババを持っていた人の勝ち。

要するに、最後までババを持っていた人と、あたしは一緒に寝なきゃいけない。



風音が一緒に寝たいと言い出し、対抗するように名乗りを上げた奏斗。

そこで牡丹が、このルールを思いついたのが事の発端。


あたしが勝てば1人で平和に眠れたのに。

まさか最初にあがるとはな………。


勝っても一緒に寝なくて済む相手であった寿羅は、ついさっきあがりを断言。

あとは牡丹に賭けるしかない。






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