恋愛倶楽部 -love-
自由なのは、今に始まったことじゃないんだけど。
それぞれが違うことしてるから、余計自由っぽく見えるのかも。
ぐるりと見回した後で、また最初の場所に焦点を戻す。
あ………
その瞬間、目を開けた寿羅と視線が絡んだ。
あからさまに嫌そうな顔をされ、対抗意識が……。
なんで、あんな眉間にシワ寄せるかなぁ。
風音の手を丁寧に解いてから、寿羅のほうにのそのそと近づいて。
「寿羅?」
声をかけると、イヤホンを外してこっちを見た。
「あのさ、お昼はごめんね」
ケンカっぽくなっちゃって。
そんなつもり、なかったのに。
伏せた目を上げていくと、俯いた相手が見える。
「んなことで、いちいち謝ってんじゃねーよ」
ぶっきらぼうだけど、どこか優しい言葉。
「……ありがとね!」
ちょっと嬉しくなって、さらに接近。
顔をあげて、それに気付いたのか寿羅が慌てているような気が。
「こっち来んな、バカ」
いきなり拒絶しなくても。
それに
「来るなって言われると、行きたくなっちゃう」
あたし、あまのじゃくなものでして。