恋愛倶楽部 -love-
◆誰にも渡さない
「だーめーっ!」
太陽が眩しい朝。
束縛から、幾度と脱出を試みた。
どうして体が重いんだろう。
布団から出してもらえずに、力尽きて伏せたまま。
目覚まし時計は誰かによって、すぐ停止。
停止した犯人は、再び布団で眠りに落ちる。
一方1人は外出の準備に取りかかっていた。
深夜、しぶしぶ風音と同じ布団で眠ったあたし。
目覚めた直後、繰り広げられるのは鳴り響いて止まない悲劇。
すぐ近くで叫ばれて、耳がおかしくなりそうだった。
少なくとも、目覚めの良い爽やかな朝とは程遠い。
このメンバーで、ぐっすり寝れただけでも奇跡。
だからさ、次の日くらい少し我慢しててよ。
「もう起きていい時間帯だし」
「ヤダよぉ、まだ寝てよ?
ゆゆが補充できてないもん」
あたしが逃げないようにと、ずっと腕が回されてる。
助けてくれる人はいない。
そもそも、あたしは栄養剤でも安定剤でもないからね。
なんで朝から悩まされなきゃいけないんだ。
大人しく眠ってれば、風音だって可愛いものを。
「今日のゆずゆちゃんの服はこれです」
人の気もしらないで、枕元に洋服を置く牡丹。
「お母さんが、ぜひゆずゆちゃんに着てほしいって言ってました」