恋愛倶楽部 -love-
壁にもたれかかったまま、内心泣きそうになるのをグッと堪えた。
襖の向こうからは、寿羅の行ってきますらしき声が聞こえる。
さて、どうしようか自分。
手に掴んでる服を見て、しばらく固まる。
こういう服って苦手なんだよね。
あたしなんかより、牡丹みたいなコのほうがずっと似合うだろうし。
でも、着替えないわけにはいかないか。
せっかく牡丹のお母様が用意してくださったんだもんな。
抵抗を拭いきれない心境。
それでも意を決して着替えを済ませて、それもソッコーで。
ないと思うけど、万が一風音あたりが突入してきてもいいように。
着てみると、サイズはぴったり。
さすがだ、牡丹ママ恐るべし。
果たしてあたしは着こなせているだろうか。
部屋に鏡がないから、自分の姿を確認できない。
うーん、困ったな。
何か姿を映せるものがないかと探索し始めた拍子に、遠くでピカピカと点滅する光。
あたしのケータイだ。
メール?
誰からだろう?
牡丹とか?
何か忘れ物でもしたのかな。
布団に埋もれたマナーモード設定のケータイを拾い、開いて画面を見る。
羅列した数字に、見覚えはない。
そもそも忘れていたけど、牡丹のケータイは破損したため今使えない状態だった。