恋愛倶楽部 -love-
『なんだ、やっぱ正解じゃん。
脅かすなよ、間違えたかと思って焦った』
それとも……凪兎の存在が亜蓮に勝ったの?
いや、まさか。
最近会ってて印象に残ってただけだよね?
だっておかしいでしょ?
全然知らない人が、よく知ってる人より上位にくるなんて。
聞き慣れてきた声が、通信機器を通して届けられている。
実感した途端、手が妙に震え出したから、ぎゅっと握りしめてみたり。
どう返事をしたらいいか迷って、落ち着かなくてはウロウロしてみたり。
『おーい、また無視?』
なんて言ったらいい?
こんな時、あたしは普段どう答えてたんだっけ?
こんなに焦るのは、どうしてなの?
こんなに困っちゃうのは、何が原因なの?
ただただ高鳴る胸の鼓動が、何かを教えようとしている。
大切な、何かを。
でもまだ、それを知ってはいけないと、自制する感情もある。
「凪兎………」
頭の中が、混乱してるからさ。
ちゃんと考えてから発言できなくなっちゃったみたい。
もっと強く、ケータイを握りしめて。
自由な片手でひらひらとなびくワンピースを握る。
優しく入り込んだ風が、あたしの背中を後押しした。
「会いたい」