恋愛倶楽部 -love-
自分でもびっくりした。
うん、きっと誰よりも驚いていると思う。
油断したら零れてしまった本音。
隠しきれないこの気持ちは、なに?
『ゆずゆ───』
さっきより小さくて、消えてしまいそうな声が名前を呼ぶ。
会いたいなんて、どうして言ったのかわからない。
けど無意識に、そう告げていた。
あたしは、凪兎に会いたいんだ。
なんで…だろう?
「あっ」
ぼーっとして返事を待っていた間、周りの物音が耳に入っていなかった。
いつの間にか開いた襖に、飛び出してきた風音。
スッと、あたしの手からケータイを奪い取る。
「ちょっと、返して!」
反射的に手を伸ばしたけどダメだ。
時すでに遅し。
「誰?」
尋ねられて黙っていると、凪兎があたしを呼ぶ声が漏れて響いた。
「ゆゆ、どうして黙っちゃうの?」
別に隠すつもりなんてないのに。
なぜか話すことを拒絶したくなってしまう。
それはたぶん、凪兎に謎が多すぎて判断に苦しむから。
あたしたちが関わって、大丈夫な人かどうか。