恋愛倶楽部 -love-



そんな言い方したら、全部を人のせいにしてるみたいだよね。

あたしは、こうやって逃げてるのかもしれない。


自分を正しく見せようとしてる、弱虫。




耐えられなくなったのであろう風音は、返事を待つのをやめた。


ケータイを耳に当てると

「消えて」

一言だけ残して通信を断つ。


誰も何も話そうとはしない。

静かに、奪われたケータイが手元に戻ってくる。


開いたまま手渡されたから、画面の中には綺麗な青空。



【ゆずゆって空好きなんだ?】

ふと思い出したのは、昨日の会話。


そっか、あの時だったんだ。

勝手にケータイいじってたと思えば、それで番号知ってたのね。



思い出したら、なぜか急に切なくなって。

悲しくて。


気まずさから、部屋を出て行こうと踏み出した。



「どこ行くんだよ」

敷居をまたぐ直前、腕を強く掴まれて引き止められる。


振り返らずとも、声で奏斗だとわかった。


「ほっといて」

「ほっとけねぇから聞いてんだよ」


相手の口調は、怒っているものじゃない。

どちらかと言うと、心配してくれてる時の喋り方。






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