恋愛倶楽部 -love-
みんなが優しいから、ずっと甘えてたの。
何をしても許してくれるって。
今だって、心配してくれてること感じてるんだよ。
でも、素直にありがとうと言えない。
だから、
「なんで隠すんだよ。
なぁ、オレら仲間だろ?」
代わりに口を開けばいつも出てくるのは、ごめんなさいという言葉。
「仲間にだって、言いたくないことくらいあるよ」
どれだけ大切に想っていても、気持ちを誰かに伝えるのは難しい。
「これ以上、干渉しないで」
本当に言いたいことを伝えるのが、容易なことじゃないから尚更。
いざ伝えようとしても、気づけば逆のことを言ってしまう。
「束縛されるくらいなら、仲間なんて……いらない」
自分勝手でごめん。
本当にごめん。
「放して」
足元を見たまま告げると、ゆっくり掴まれた腕が解放されていく。
1度も振り返らないで、視線を落としたまま長い廊下を走った。
ケータイを握りしめる手に力が入る。
どうしてなんだろう。
どうして今、こんなに気持ちが焦っているの?
どうして、風音も奏斗もあたしを気にかけてくれるの?
どうして、出会っちゃったの。
こんなはずじゃなかった。
けど、こうなってしまった。