恋愛倶楽部 -love-
泣きたいような叫びたいような、よく理解できない感情。
はっきり言えるのは、喜びではないということ。
自分で自分がどうしたいのか、全然わからない。
誰かに助けてもらいたい。
そう思うのは、ズルいのかな。
助けがほしい時、最初に思い出すのは毎回亜蓮。
頼りたくなるのは、今でも好きだから?
やっぱり、よくわからない。
外に出て、意味もなく足を進める。
行くあてなんて、何もないのに。
人混みを俯いたまま、ゆっくり歩くだけ。
季節は、初夏。
あれ、あたし泣いてる?
不意に顔をあげると、涙ではなく雨が頬を優しく撫でた。
降り始めたばかりの、霧雨。
「きゃっ!」
見上げたまま歩くからいけないんだ。
背後からあたしを抜いた人とぶつかって、そのまま地に手をついた。
アスファルトを徐々に濡らす、雨の匂い。
すぐには起きあがれなくて、倒れた体勢のままで少し先に向けた視線。
………え?
一瞬目を疑った。
目の前を転がる缶。
あの時と同じ、ミルクティー。