恋愛倶楽部 -love-



ほっとしたの。

涙が堪えられなくて、また俯く。


雨の音が、大きく響いて。

涙がバレないくらいに、あたしたちを包み込んだ。



嗚咽を我慢しきれない。

鼻をすすって、何度も目をこする。

何度拭っても、頬は濡れたまま。

もう涙か雨かなんて判断できない。



凪兎は黙ったまま、あたしを立たせると腕を引っ張って歩き出した。




この涙は、いったい何の涙だろう。


仲間にヒドいことを言ってしまったと、後悔している涙かな。

それとも、亜蓮を忘れられない自分に対しての悔し涙かな。

凪兎に会えたことへの嬉し涙かな。



どれもあるけど、どれも違う気がする。



「俺さ、雨好きなんだ」

2人で雨に打たれて、自然と繋がっていた手。

優しいぬくもりが、乱れた心を落ち着かせてくれる。



「泣いてるの、隠せるから」

絡み合った視線の先に、あたしは懐かしいものを見た。

そんな気がした。


全部ではないけど、かすかに蘇る。

熱く広がるこの感覚。




これは───‥。






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