恋愛倶楽部 -love-
どのくらい歩いただろうか。
すっかり水をかぶったあたしたちは、とある場所に並んでいた。
「うっわ、どうしたの?
女の子を雨に当てるなんて、どんな神経してんのよ」
腕を組んだショートカットのお姉様が、ありえないという表情を向けてくる。
あたしにではなく、凪兎に。
「ゆずゆ、こっち」
それを無視してあたしを呼ぶと、すぐに差し出されたタオル。
「あ.あの、お邪魔します…」
タオルを受け取り、腕やら髪やらの水滴を取りながら控えめな挨拶。
連れられてたどり着いたのは、凪兎の家だったりするわけで。
相当気まずいわけで。
「あーあ、こんなに濡れちゃって。
うちのバカのせいでごめんね」
たった今お話している相手は、凪兎のお姉さん。
ちょうど仕事が休みで、家にお姉さんだけがいたらしい。
「服もびしょびしょじゃないの」
「あ、はい、あはは」
どうしよう、対応に困る。
変に緊張しちゃって、誤魔化し笑いしかできない。
「風邪ひくから着替えたほうがいいよ。
服貸してあげるから、シャワー浴びといで」
「いや、あの、え、」
答える間もなく、背中を押されてお風呂場へ。
固まって玄関に立っていたから、玄関は滴る雨水で水たまりができていた。
あの、ものすごく、申し訳ないです……はい。